
CD : Carlos Aguirre "Caminos"
Lavel : Shagrada Medra
某店でメーマリの最新盤を入手したとき、同時にアルゼンチンのカルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)の最新盤"Caminos"(=通称「黒盤)」を薦められて聴いてみたら、あらら、こちらも久しぶりにツボに来ちゃいました。
お店で試聴させてもらったとき、対位的な並行旋律が妙に耳に残って、家に帰るまで、それが何故だかわからなかったんですが、数時間後にようやく思い当たりました。そういえば、ジスモンチの"Frevo"のサビの部分が似たような印象だったような。
その展開が聴ける6曲目"El Barrio, El Candombe"のほか、特に12曲目"Milonga Gris"(灰色のミロンガ)がヘビーローテンション状態です。
ミロンガといいつつ、バイアゥンのようなリズムに乗る印象的な旋律と、絶妙に甘いインプロビゼーションは、既にプレイヤーを離れて、頭の中で、鳴りっぱなし。
ジャズ、クラッシック、フォルクローレを背景に感じますが、初めて聞いた名前なので、詳しいことは知りません(・・・と思ったら、Aca Seca Trioのアルバムで、この人の作品が何曲か取り上げられているのに気付きました)。こうなると、過去の作品(「赤盤」と「白盤」)も聴きたくなりますが、なんでも、自分の車にCD積んで卸に来る人らしいので、非常に不定期な入荷状況だということでした。
運よく手に入ったら、またここで取り上げるかもしれません。
レーベルのHPに試聴コーナーもあるのですが、残念ながらリンクファイルが間違ってます・・・
2008.05.22
Music / Brasileira - 木とワルツと風と

CD : André Mehmari “...de árvores e valsas”
Year / Lavel : 2008 Estúdio Monteverdi (EM 001)
期待していたアンドレ・メーマリ(Andre Mehmari)の新譜が今月上旬発売されました。アルバム・タイトルの"...de árvores e valsas"とは、直訳すれば、「木とワルツの〜」という意味です。メーマリが、伏せられた部分に入れることがふさわしいと思っているイメージ群は、想像するしかありません。
でも、むしろ「樹」という言葉が、私の中では、メーマリの音楽自体をイメージさせます。ブラジルの地…というよりは、音楽という土壌に深く根を張り、豊かに葉を茂らせる大樹。近寄って見れば、複雑で多様なディティールを持っているけれど、柔らかな香りや風にざわめく音、木漏れ日など、感性全体で心地よく深く感じることもできる。まさに、そんな聴き方をしてしまうのです。
セルジオ・サントス、モニカ・サウマーゾ、ゼー・ミゲル・ヴィズニキ、テコ・カルドーゾ等, 曲にそれぞれのアーティストののカラーが強く出てしまっても不思議でないくらい、オリジナリティーの高いゲストを迎えています。しかし、全てはメーマリの音楽の中に違和感なく織り込まれて、一つの宇宙を作り出しているので、この若いアーティストの音楽的受容力は、想像がつかないスケールを持っているようです。
どちらかというと、他アーティストのコラボレーションもしくはセッション的性格が強いと感じていたここ最近の作品と異なり、今回のアルバムでは、”CANTO”で見せていたように、非常に微妙な音を使いつつ、内省的に音楽を練ってゆく手法に回帰しています。ただ、“CANTO”の時には見られなかった北東部音楽の影響が現れたり、多数のゲストを迎えるなど、メーマリの音楽は格段にその世界を広げています。
ゲストは先ほど名前を挙げた、メーマリと親交のあると思われるブラジルのアーティストですが、他にも、おやっ、と思う名前を見かけました。イタリアのジャズシーンで活躍するクラリネット奏者、ガブリエル・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)です。
私はこの人の名前を、ギンガとの共演盤で知りましたが、他にもセルジオ・アサドとの作品もあり、ブラジルのコアなインスト奏者と交流があるようです。せっかくですので、こちらもちょっと取り上げます。

CD : Gabriele Mirabassi / Guinga "Graffiando Vento"
Year / Lavel : 2004 EGEA (EGEA SCA 107)
ミラバッシとギンガ(Guinga)によるギンガ作品集"Graffiando Vento"は、イタリアのEGEAレーベルから発売されているため、ギンガファンでも聞き逃している人がいるかも知れません。
ミラバッシは、すばらしいテクニックと美しい音色で、ギンガの音楽に鮮やかな解釈を与えていきます。最初のうち、違和感があるのは、諧謔に似たギンガの音楽の不思議な逸脱感を期待していると、それとは相反するような、どこか、大理石の彫刻から与えられる印象のような、硬質なタッチを感じるからでしょう。
かつてギドン・クレーメルがピアソラをカバーしたときにも、ちょっと似通った印象を受けたことを思い出しました。、南米の音楽が持つ、リズムのもつれや音の隙間の多さといったものを魅力的に感じ始めていたあのときは、それが削がれた音楽を聴いて、ミュージアムに飾られた美術作品を連想してしまいました。
音型が純粋に取り出されると、その音楽は当然、演奏者の音楽的背景に大きく依存して、別の訴求力を持ちはじめますが、でも、ギンガもあえてそれを否定しようとはせず、端正な音が長い残響を引く環境の中で、自分の音楽が変容してゆくのを楽しんでいるようにも聴こえます。
2008.04.26
Music/Nordeste - Alma do Nordeste
CD : Jovino Santos Neto "Alma do Nordeste"
Year / Lavel : 2008 Adventure Music

最近よく聴いているのは、エルメート・パスコアル・バンドを経て、アメリカを活動拠点としていたというキーボーディスト、ジョヴィーノ・サントス・ネトの最新盤、"Alma do Nordeste"です。
タイトルの通り、ブラジル北東部の音楽を、洗練された形でジャズと融合させています。(「ジャズ」と感じる一番の理由は、たぶんアドリブの手法のせい。)
どこかで聴いた音に感じが似ているな、と思ったら、手持ちのCD、 Folia de Reis(フォリア・ヂ・ヘイス)の"Ancestors(アンセスターズ)"の音色でした。
思わず口ずさみたくなるメロディーから流麗なインプロビゼーションまで、いい曲だなぁと思わせてくれる演奏と曲揃いで、長く聴いていられるアルバムになりそうな予感がします。
ピファノ等を用いて、正統に北東部風に(と一口に言っても、その範囲は音楽的にも広大なのでしょうけど)演っている曲もあって、もう2〜3ディープなノリの曲も欲しいのですが、そっちの方向が好きなら、もっとローカルな人たちの演奏を真剣に聴けよ、ということなんでしょうね・・・
Year / Lavel : 2008 Adventure Music

最近よく聴いているのは、エルメート・パスコアル・バンドを経て、アメリカを活動拠点としていたというキーボーディスト、ジョヴィーノ・サントス・ネトの最新盤、"Alma do Nordeste"です。
タイトルの通り、ブラジル北東部の音楽を、洗練された形でジャズと融合させています。(「ジャズ」と感じる一番の理由は、たぶんアドリブの手法のせい。)
どこかで聴いた音に感じが似ているな、と思ったら、手持ちのCD、 Folia de Reis(フォリア・ヂ・ヘイス)の"Ancestors(アンセスターズ)"の音色でした。
思わず口ずさみたくなるメロディーから流麗なインプロビゼーションまで、いい曲だなぁと思わせてくれる演奏と曲揃いで、長く聴いていられるアルバムになりそうな予感がします。
ピファノ等を用いて、正統に北東部風に(と一口に言っても、その範囲は音楽的にも広大なのでしょうけど)演っている曲もあって、もう2〜3ディープなノリの曲も欲しいのですが、そっちの方向が好きなら、もっとローカルな人たちの演奏を真剣に聴けよ、ということなんでしょうね・・・
2008.02.15
少しだけブラジルな休日

▲東京へ来て以来、久しぶりに休日らしいことをしました。
鎌倉にお出かけして、カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ(Café Vivement Dimanche)でカフェ飯。
周りの客がほとんどオムライスを注文してる中で、ブラジル料理にチャレンジしてみました。
ココナッツミルク風味のブイヤベース、という感じの煮込み料理をご飯に絡めて食べるメニューですが、なかなかいけます。
すぐ近所に系列の小さなラテン音楽専門店があるのですが、この日はめぼしいものが見つかりませんでした。

▲そのかわりに、というわけではありませんが、最近気に入って聴いているブラジル音楽をピックアップ。
これは、セルジオ・サントス(Sérgio Santos)の最新作、"Iô Sô"。
ミナス色が強く、ここ最近の2〜3作より、更に洗練を極めた楽曲群が並ぶ、相当な力作です。
アンドレ・メーマリ(André Mehmari)がピアノで大多数の曲に参加している他、ドリ・カイーミ(Dori Caymmi)とジョイス(Joyce)がゲスト参加。この3人は一昨年のBNに一緒に来たりしてるので、普段から親交があるのかもしれませんね。
知らないで聴いたらギンガ(Guinga)の新曲かと思ってしまいそうな10曲目"Congadeiro"を含めて、全てオリジナル曲。作曲能力も見せ付けてます。

▲こちらはホメロ・ルバンボ(Romero Lubambo)とウェベール・ドラモンド(Weber Drummond)のデュオ作。
1993年盤の再発です。
ルバンボの昔の仕事を知らなかったので、昨年来日した時にも聴きに行かなかったのですが、このCDで、凄腕ぶりを初めて認識。
ある店の中で、"Frevo"を演っているのが聴こえた途端、即買いしてしまいました。
2008.01.09
♪あた〜らし〜い〜朝が・き・た

CD : Ruben Alves "Clara Madrugada"
Year, Lavel : 2000, New Discoveries Records (ND2003)
Player : Ruben Alves (Piano)
Ricardo Rocha (Guitarra portuguesa)
2008年になって、な〜んにも変わってない気がしますが、とりあえず音楽だけでも年明けに相応しいタイトルを。
"Clara Madrugada"は、直訳すれば「透明な夜明け」という意味のようです。もう少し、しっくりくる意訳がありそうな気がしますが、私の語彙からでは取り出せません。
"Ricardo Rocha"でググってたら、たまたまこのアルバムが引っかかってきたので、入手したのが去年の前期。
全体を通して聴いてみたら、なかなか光る部分もあるのに、曲によっては、どうしてこうなるの?という垢抜けない展開もあり、まあ、リカルド・ローシャの参加作品としては、こんなのも面白いかな、というのが最初の印象でした。
でも、何度か流して聴いているうちに、次第にこのアルバムの印象が変わっていったのです。
具体的に何がとは言えないけど、とにかく耳に残るものがあるのです。
特に、いろいろな音楽を聴いて疲れた耳をリセットするときには、欠かせなくなっていきました。
Ruben Alvesというピアニスト(おそらくポルトガル人)については、なにも詳細なことはわかりませんが、リカルド・ローシャとほぼ同世代のアーティストだと思われます。
このアルバムを無理に分類しようとすれば、ジャズあるいはフュージョンということになりますが、オリジナリティが濃く、穏やかで、時に美しい世界が訥々と語られていきます。
傑出した部分がない代わりに、簡単には消えない余韻が残ります。
Ruben Alvesの音楽性は、なんとなく、ブラジルのBenjamin Taubkinを連想させるのですが、ただ、タウブキンの音楽がもっと社交性があるのに比べると、かなり個人的な世界観に篭っているような気がします。
そしてこのアルバムのもうひとつの聴き所は、リカルド・ローシャのインプロビゼーションでしょう。フュージョン的な音楽で自由に演ってるローシャって、私の知る限りではMaria Joaoの"Fabura"以外では聴いたことがなく、なかなか貴重なんです。
思いもかけずファド&ポルトガル音楽に触れる機会の多かった2007年でしたが、さて、今年はどんな音楽との出会いが待っているんでしょうか。


