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2006.03.24 愛より強い旅
exils


あまりピンとこない邦題なのですが、原題は"EXILS"(放逐?)というシンプルなもの。

ロマと音楽をテーマに作品をとり続けるトニー・ガトリフ監督の、日本公開5作品目。東京では年末に公開されていたものが、ようやく名古屋に回ってきました。単館系は、なかなかこないなー、と思って待ってるうちに、短期間の上映で終了ということがあるので、油断できません。名古屋の場合。

音楽は素晴しかった!マグレブ音楽のショウケース的映画なのかな、と思っていたけど、フラメンコベースのテーマ曲も、よく聴くと、なにか混ざってる感じ。
後でサントラを買って確かめてみたら、曲によっては「ガッジョ・ディーロ」に出てたローナ・ハートナーや、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのような東欧のミュージシャンも起用されているようです。
終盤を印象付けるトランス音楽も、ガトリフのアイデアで独特の楽器編成になっているらしく、監督の音楽的経験そのものが、独自のフュージョンを生み出しているようです。
劇中、「宗教は何か」と訊かれた主人公が「音楽だ」と答えるシーンがありましたが、あれはガトリフ自身の独白なのでしょう。

しかし、音楽的には満足したのに、見終わった後の充足感がなぜかイマイチ…
主人公たちがルーツへと遡行していく過程に、切実さが感じられなかったせいでしょうか。純粋に映画として楽しむことは、私にはできなかったようです。
2006.03.10 イチベレー
CD
calendario do som


CD
Itibere Orquestra Familia / Calendario do Som

いきなりヘビーローテーションになってしまった1枚。おっと、2枚組だった。

イチベレ・オルケストラ・ファミリアは、エルメート・バンドのベーシスト、イチベレが若手奏者を集めて作ったバンドらしいです。このアルバムは、エルメートが366日それぞれに曲をつけたという楽譜本をネタにしてます。曲の良さでセレクトしてるわけではなく、メンバーの誕生日の曲をやっているので、無作為抽出に近いのですが…

この密度の高さはいったい何事!?最近のエルメートバンドらしい、おもちゃ箱をひっくり返したようなフュージョンが聞こえ始めた時には、またこれか?と思ったのですが、それはご挨拶で、その後に多様な展開が待ってました。
例えば「11月18日」の展開。バイオリンとピアノのゆったりしたデュオが奏でる主題が、複雑なコーラスへと引き継がれ、最後は、東欧のジプシーバンドも蹴散らしてしまうほどの怒涛のブラスが炸裂!
大音量で聴きながら不思議なコード進行に浸ると、もう、脳味噌が溶けて耳から出るんじゃないかと思うほどの快感です。

曲によっては、不意にヘジオナウな編成のショーロが挿入されたりと、とにかく全編凝りまくったアレンジが施されている上に、殆どアコースティックな楽器を破綻なく弾きまくるメンバーの力量は図り知れず、とても贅沢な気分になるアルバムです。
聴けば聴くほど新たな聴きどころが見つかる、音の博物館的面白さもあり、なかなか飽きません。

なんだか、ブラジル音楽の底力を見せつけられた気分。しかしこれが366日の無作為な27日分なんて、いったい、エルメートの頭の中はどうなってるんでしょうか!?サンバタウンで、エルメート自身の最新作のデモCDを聴かせてもらったのですが、これがまたとんでもない出来の良さで、そちらにも期待してます。DVDもあるらしいです。ひょっとして最高作?
CD
4321


CD
Giana Viscardi / 4321

内容的には素晴しかった1stアルバムだけど、ダサジャケと"TIMGE"というタイトルが災いして(日本では)かなり損をしていた感のあるジアナ・ヴィスカルジ。でも、期待の2ndは、サンバタウンでの売り出しも好調のようですし、Cafe Dufiでの店内BGMに反応して、早速マスターに問い合わせてるお客さんを見かけたりしました。ジャケ写真に頼らずとも売れそうな予感。

で、わたしも2回目入荷分をようやくゲットして、早速聴きまくり…あれれ、なんか違いません…?カフェ・オ・シャ♪なーんて軽妙な歌い口のジャズボッサ(?)に続いて、まるきりジャヴァンみたいな2曲目。全編こんな感じなのか?と不安になりかけたところに、本人のみの作になる4曲目登場。ちょっとクセのあるその雰囲気は、やっぱりパウリスタ。一安心。

声、録音、バックの面子等、数段レベルアップしていることは間違いなく、そういう意味では聴き応え十分ですが、荒削りでもいろいろ冒険していたファーストの発展形を期待していると、肩透かしをくらいます。ギタリストとの共作曲は、全体的にジャズ寄りですね。ファーストで大活躍していたパーカッションのPedro Itoという人はどこへ行ってしまったのでしょう?

このアルバムの中で理屈抜きに楽しいのは、バックでハベッカが歌っているルイス・ゴンザーガの"Vem Morena"。ドライブ感が素晴らしくて、勝手に体が動きます。あと、これも本人のみの作曲による"Colorida"がいい感じ。甘口ですが、甘党ですので。

こんな切れの悪い感想を書いておきながら、もし来日したら、間違いなく聴きに行くでしょう(笑)。去年のディモンシュでのライブを聞き逃したのは、未だに心残り。
contrasts


CD
Aziza Mustafa Zadeh / Contrasts

何かのおまじないみたいですが。アゼルバイジャン出身のピアニストの名前です。ずーっと待ち焦がれていた新作が、最近出ました。→Official Site

デビュー時より、ジャズと、クラシックと、ムガム(あちらの民謡)を、独特の感性と情熱、そしてハイテクニックで融合させたオリジナルな音楽を生み出し続け、1作ごとに、耳を驚かせてくれてました。

自分の中では、ブラジルのギンガに匹敵するポジションかそれ以上で(ということは超好きなんですが)、とにかく、尋常でない音の展開がきた時には狂喜乱舞!なかなか来日しないのに業を煮やして、活動拠点のドイツまで聴きにいってしまう始末。要は無条件で好きなんですな、はい(笑

4年ぶりのニューアルバムは、新たに立ち上げたセルフ・レーベルからの発売。実は暫く前に入手していたのに、書かなかったのは、少し戸惑っていたから。前作に比べて、迷いなく音が抜けている感じがする。それはいいこと。でも、かつての蟲惑的な音の動きはどこへ…?

暫く聴いていて、耳に残る印象の中に、ふと新しい甘美さを発見。このアルバムは、スローで静かな曲ほど、新しい地平を目指す力を持っているかもしれない。この感じは、以前のアジザにはなかった。これがアジザの行きたい方向?それはわからない。しばらく、見守ってみたい。できれば、また聴きに行きたいけど