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2006.11.15
Nome de Mar - ファドの新しい海風

今年最後の福音は、ポルトガルから。最初にこのアルバムを耳にしてから約1週間。いまだに冷静になれないので、勢いで書いてしまいます。
新世代のファド歌手、マリア・アナ・ボボン(Maria Ana Bobone)の新譜"Nome de Mar"が届きました。
これまでもボボンを演奏でサポートしてきたギタリシュタ、リカルド・ローシャ(Ricardo Rocha)が、今回は全面的にプロデュース・アレンジを担当しています。
CDに耳を通したとたん、背筋を走る只ならぬ予感。
無調から長調へ、そして短調へとうねりを変えてゆくポルトガルギターの海。
ファドに似つかわしい、大人の声になったボボンのソプラノが、そこに豊かな光を投げかけ、鮮烈なファドの黎明が広がってゆきます。
なんて感動的な光景。数日を経た今でも、まだ感情の波が揺れています。
ゲストプレイヤーを迎えての中盤で、思いもかけない低域の声やコーラスなど、今までになかったボボンの魅力を見せた後、ギタリシュタ、リカルド・ローシャの本領が発揮されます。
フェルナンド・ペソアの詩にローシャが曲をつけたスローな小品2つですが、親密さと不可侵な感じが背中合わせに共存する独特の品位は、まるでブラジルのギンガの作品が放つそれのよう!
ポルトガルギター奏者が口をそろえて「あの天才」という訳が少し理解できたような気がしました。
最後はボボンの出自を語るように、ヴィヴラートをかけない少女のような声で、アヴェ・マリアを歌ってCDは終わります。
ほとんど伝統的なファドの楽器構成(ショーロの場合の「ヘジオナウ」に相当する言葉はあるのでしょうか?)によりながら、音楽としての普遍性をここまで得るには、相当な力量が必要なはず。
ファドが、ファド自身の力でその可能性を広げようとする超凡な作品だと感じました。今年の個人的なベストアルバムになりそうです。
日本には入ってきていないようですが、YOUTUBEにプロモーション・ビデオがアップされていました。表題曲が、フルレングスで聴けます↓。
楽器でいうと、タンギングやアタックをかけない奏法に相当するボボンの発声は、聴く人を選ぶかも知れませんが、純粋に歌物としても良曲ぞろいのアルバムですので、聴いてみて損はないと思います。
CD : Maria Ana Bobone "Nome de Mar"
2006 Vachier & Associados, Lda
2006.11.11
再び、João Paulo
ポルトガルのジャズ・ピアニスト、ジョアン・パウロの参加CDを更に入手。
フランスのジャズ・オーボ工&コールアングレ奏者ジャン・リュック・フィロン(Jean-Luc Fillon)、打楽器奏者カルロ・リッツオ(Carlo Rizzo)とのトリオ2作品です。最近のジョアン・パウロは、このトリオでの活動が多いみたいですね。
リーダーはどちらもフィロンであるせいか、ジョアン・パウロ自身のアルバムと比べると、よりジャズの耳で聴ける内容です。
性格の似通った2作品ですが、地中海風のテーマが面白い"Flea Market"(2004, Cristal Records, CD04-21)に対し、"Oboa"(2003, DEUX Z, ZZ84135)の方はインプロビゼーション部分が聴きどころだと感じます。

サックスに比べてピッチの安定しているオーボエやクラリネットなどの直管の楽器は、理性的かつエキゾティックなメロディにはやはりよく合いますね。特にアルバム・タイトル曲"Flea Market"ではその魅力が存分に生きています。しかしこの曲は、アドリブに入ると"Nardis"と同じコード進行になり、フィロンが結構スィンギーに吹ける人なんだとわかります。
このアルバムの収録曲については、フィロンのホームページでライブ映像を見ることができますがCDよりはるかにエキサイティング!タンバリン型の打楽器から様々なビートを生み出すカルロ・リッツオのプレイも見ものです。↓
http://www.jeanlucfillon.com/main.php?page=video&design=beige

特徴的なテーマが並ぶ"Flea Matket"と比べると、少し地味な感じがする"Oboa"ですが、こちらはむしろ曲が展開してゆくにつれ、次第に輝きを増してゆき、はっとするようなフレーズやコードが現れてきます。よく歌うフィロンのオーボエに応えるように、ジョアン・パウロも美しいピアノで返し、こんなに華やかに活き活きと歌うこともできるのかと、新たな魅力を発見。2曲目"Atchoumba"終盤のソロ&アンサンブルの美麗さにはとろけそうになります。
インストの好きな人は、むしろこちらの方が満足できるかもしれません。
どちらもかなりいいアルバムだと思うのですが、残念ながら日本での流通は殆どなく、現在はamazon.fr等から購入する以外、入手方法はなさそうです。
フランスのジャズ・オーボ工&コールアングレ奏者ジャン・リュック・フィロン(Jean-Luc Fillon)、打楽器奏者カルロ・リッツオ(Carlo Rizzo)とのトリオ2作品です。最近のジョアン・パウロは、このトリオでの活動が多いみたいですね。
リーダーはどちらもフィロンであるせいか、ジョアン・パウロ自身のアルバムと比べると、よりジャズの耳で聴ける内容です。
性格の似通った2作品ですが、地中海風のテーマが面白い"Flea Market"(2004, Cristal Records, CD04-21)に対し、"Oboa"(2003, DEUX Z, ZZ84135)の方はインプロビゼーション部分が聴きどころだと感じます。

サックスに比べてピッチの安定しているオーボエやクラリネットなどの直管の楽器は、理性的かつエキゾティックなメロディにはやはりよく合いますね。特にアルバム・タイトル曲"Flea Market"ではその魅力が存分に生きています。しかしこの曲は、アドリブに入ると"Nardis"と同じコード進行になり、フィロンが結構スィンギーに吹ける人なんだとわかります。
このアルバムの収録曲については、フィロンのホームページでライブ映像を見ることができますがCDよりはるかにエキサイティング!タンバリン型の打楽器から様々なビートを生み出すカルロ・リッツオのプレイも見ものです。↓
http://www.jeanlucfillon.com/main.php?page=video&design=beige

特徴的なテーマが並ぶ"Flea Matket"と比べると、少し地味な感じがする"Oboa"ですが、こちらはむしろ曲が展開してゆくにつれ、次第に輝きを増してゆき、はっとするようなフレーズやコードが現れてきます。よく歌うフィロンのオーボエに応えるように、ジョアン・パウロも美しいピアノで返し、こんなに華やかに活き活きと歌うこともできるのかと、新たな魅力を発見。2曲目"Atchoumba"終盤のソロ&アンサンブルの美麗さにはとろけそうになります。
インストの好きな人は、むしろこちらの方が満足できるかもしれません。
どちらもかなりいいアルバムだと思うのですが、残念ながら日本での流通は殆どなく、現在はamazon.fr等から購入する以外、入手方法はなさそうです。
2006.11.09
名盤の予感

フランスからブラジルに渡ったヴァイオリニスト、ニコラス・クラシッキ(Nicolas Krassik)の2ndアルバム"Caçuá"がSANBATOWNに入荷してきたので、早速入手。一聴して、こうして文章にして書くのが馬鹿らしくなるくらいの、魅力的なサウンドが、冒頭から溢れてきました!(と言いつつ書いている私の馬鹿さ加減は・・・)
手探りの印象が強く、音楽の魅カが伝わりづらかった1stと比ベると、曲と演奏が見事にハマったこのアルバムは、はるかに強い訴求力をもって聴き手の耳に迫ります。特に、鉄弦ギターとヴァイオリンの軽やかな掛け合いから始まるアルバムタイトル曲"Caçuá"は、この弾き手とこの楽器の組み合わせ以外が考えられないほどの、確たる存在感を持ったフォホーで、もしかすると、エルメートの"Bebe"のような名曲に育つかもしれない、と思えるほど。
こんな曲をさらっと(かどうかわからないけど)書いてしまうマウリシオ・カヒーリョは、やはり才能に溢れたギタリストですね。
オフィシャルサイトで"Caçuá"を含めた2曲がフルレングスで試聴できます↓
http://www.nicolaskrassik.com/cacua.htm
ショーロのスタンダードに加え、フォホー、マシーシ等、北東部の色彩が強い他の曲も聴き応え十分で、日々腕利きショラゥンの間で揉まれて腕を磨いていると思われる、ニコラスの日常が透けて見えるような内容です。今後の活躍も楽しみになってきました。来日も期待したいですね。
こんな音楽に出会えたことが嬉しくなる、文句なしの好盤!!
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