| Home |
2007.08.28
モエレ沼公園 - ここはほんとに日本?
LANDSCAPE : モエレ沼公園(札幌)
DATE : 2007/08/18

一夜明けた札幌は、薄曇り。
ゆにくらのライブが始まる前に小樽での余裕も欲しかったから、こちらでの行動時間は、お昼過ぎまで。あちこち行ってる余裕はなさそうだから、前から気になっていたモエレ沼公園だけは見ておくことにしました。
環状通東まで地下鉄で行って、そこからバスで20分。かなり郊外という感じです。おそらく豊平川の三日月湖だと思われるモエレ沼の内側の土地は、かつてはごみ処理場として利用されていたということですが、沼を含めた全体に修景計画を施し、現在の姿となっているようです。

しかし、こんなにスケールがデカかったとは!モエレ山もガラスのピラミッドも、想像比2倍強!なんだか、自分の中に持ってた本州的公園感覚のケチさを思い知らされた気分。イサム・ノグチの晩年の作品としても知られる同公園ですが、その徹底した景観計画に感心させられました。
構成要素は単純化され、遊具の一つもありません。でも、ただでかいだけじゃなくて、中を歩いていると、土地に起伏がつけてあって、スカイラインの向こう側に次の景色が隠され、歩いてゆくと、空の下にだんだんそれが見えてくる、あるいは、曲がり角の向こうに、不意に予測しなかった光景が現れる、といった視覚効果が魅力的で、歩いてて飽きません。
何かの案内放送が流れたので、その声のするほうに行ってみたら、噴水のショウが始まるところでした。最初霧しか出なかったので、まあ景観公園らしくてきれいだね、ぐらいに思ってたら、その後に続いた噴水の、ハンパじゃない高さと水量に、思わず笑っちゃいました。まるで間欠泉みたいな豪快さ!
モエレビーチと言う、水浴のできる浅い人工池にも行ってみましたが、子供がはしゃいでいて楽しそう。ここも、歩いてゆくと、だんだん水面が見えてくる心憎い設計。振り返ると、芝生と木と空がグラフィカルな景観を造っていて、まるで日本じゃないみたい。アスプルンドの「森の火葬場」は、行ったことはないけど、多分あの設計手法には何らかの影響は受けているのでしょう。
ちなみに、「森の火葬場」は、こんなところです▼
cf : エーエーラボ[AALab]及びアスプルンド展実行委員会

冬になると、雪に覆われたモエレ山を子供たちがそりで滑り降りて遊んだりしているそうですが、たしかに、あれくらいの高さなら、かなりすべり甲斐がありそうです。一面真っ白なモエレ沼公園は、夏とはまた全然違った美しさを見せてくれるでしょうから、一度観てみたいものです。
最後はガラスのピラミッドのなかをちょっと覗いて、滞在予定時間を大幅にオーバーしたモエレ沼公園を後にしました。こんな公園が大都市近郊にあるなんて、札幌の人たちが、ちょっと羨ましくなりました。さ、小樽へ急がなければ・・・
モエレ沼公園の施設案内はこちら▼
モエレ沼公園オフィシャルサイト
モエレ沼公園 :
〒007-0011 札幌市東区モエレ沼公園1-1
TEL:011-790-1231 FAX:011-792-2595
開園時間:7:00〜22:00(入園21:00まで)
次回は、前夜の札幌でのライブ、を書く予定です。
DATE : 2007/08/18

一夜明けた札幌は、薄曇り。
ゆにくらのライブが始まる前に小樽での余裕も欲しかったから、こちらでの行動時間は、お昼過ぎまで。あちこち行ってる余裕はなさそうだから、前から気になっていたモエレ沼公園だけは見ておくことにしました。
環状通東まで地下鉄で行って、そこからバスで20分。かなり郊外という感じです。おそらく豊平川の三日月湖だと思われるモエレ沼の内側の土地は、かつてはごみ処理場として利用されていたということですが、沼を含めた全体に修景計画を施し、現在の姿となっているようです。

しかし、こんなにスケールがデカかったとは!モエレ山もガラスのピラミッドも、想像比2倍強!なんだか、自分の中に持ってた本州的公園感覚のケチさを思い知らされた気分。イサム・ノグチの晩年の作品としても知られる同公園ですが、その徹底した景観計画に感心させられました。
構成要素は単純化され、遊具の一つもありません。でも、ただでかいだけじゃなくて、中を歩いていると、土地に起伏がつけてあって、スカイラインの向こう側に次の景色が隠され、歩いてゆくと、空の下にだんだんそれが見えてくる、あるいは、曲がり角の向こうに、不意に予測しなかった光景が現れる、といった視覚効果が魅力的で、歩いてて飽きません。
何かの案内放送が流れたので、その声のするほうに行ってみたら、噴水のショウが始まるところでした。最初霧しか出なかったので、まあ景観公園らしくてきれいだね、ぐらいに思ってたら、その後に続いた噴水の、ハンパじゃない高さと水量に、思わず笑っちゃいました。まるで間欠泉みたいな豪快さ!
モエレビーチと言う、水浴のできる浅い人工池にも行ってみましたが、子供がはしゃいでいて楽しそう。ここも、歩いてゆくと、だんだん水面が見えてくる心憎い設計。振り返ると、芝生と木と空がグラフィカルな景観を造っていて、まるで日本じゃないみたい。アスプルンドの「森の火葬場」は、行ったことはないけど、多分あの設計手法には何らかの影響は受けているのでしょう。
ちなみに、「森の火葬場」は、こんなところです▼
cf : エーエーラボ[AALab]及びアスプルンド展実行委員会

冬になると、雪に覆われたモエレ山を子供たちがそりで滑り降りて遊んだりしているそうですが、たしかに、あれくらいの高さなら、かなりすべり甲斐がありそうです。一面真っ白なモエレ沼公園は、夏とはまた全然違った美しさを見せてくれるでしょうから、一度観てみたいものです。
最後はガラスのピラミッドのなかをちょっと覗いて、滞在予定時間を大幅にオーバーしたモエレ沼公園を後にしました。こんな公園が大都市近郊にあるなんて、札幌の人たちが、ちょっと羨ましくなりました。さ、小樽へ急がなければ・・・
モエレ沼公園の施設案内はこちら▼
モエレ沼公園オフィシャルサイト
モエレ沼公園 :
〒007-0011 札幌市東区モエレ沼公園1-1
TEL:011-790-1231 FAX:011-792-2595
開園時間:7:00〜22:00(入園21:00まで)
次回は、前夜の札幌でのライブ、を書く予定です。
2007.08.24
ゆにくら - 北の大地のショーロ
LIVE : Unicla(ゆにくら)
PLACE : 小樽倉庫No.1(小樽・港町)
DATE : 2007/08/18(sat)

ジスモンチのライブの2日前。札幌駅。22:00。
青森行き「急行はまなす」は、ハイシーズン用の増結編成ながら、満席状態でホームを離れようとしていました。東京のトリトンスクエアを経由する、長い復路へ向けて。
指定席は、運悪く電源車。列車速度に関係なく、車内は常に発電機のエンジン音で満たされていましたが、耳にはまだ、1時間ほど前、小樽で聴いたクラリネットとギターの音色が残っていました・・・
「北海道 ショーロ」というキーワードで、何気なくネット検索したことが、最初は漠然と北を目指すつもりでいたこの旅の日程を決めてしまいました。あの地にも、ブラジル音楽を愛し、ショーロを演奏する人たちがいるなんて。最近の中原仁さんのブログ記事(→cf : ブログ記事「仲原仁のCOTIDIANO」)を拝見したら、「最近ショーロを演奏する日本人が増えているだろう?」とジスモンチが言っていたと書かれていましたが、ブラジル人アーティストにまで認識されているその状況に、間違いはないようです。
ちょうど神戸あたりの街のように、山と海に挟まれた小樽は、市街地が散歩で廻れるくらいの規模で、駅前から港方行へ大通りを1kmほど真直ぐ下りきったことろに、小樽運河がありました。運河沿いの建物群は景観整備され、目指す「小樽倉庫No.1」も、そのうちの1つをレストアしたものでした。
地ビールと、北海道産の素材を使った食事を提供し、ライブを聞かせるというエンタテイメント性の高いお店には、定期的に何組かのアーティストが出演しているようですが、この日のお目当ての「ゆにくら」は、ショーロとミュゼットを演奏する、クラリネットとギターのデュオです。パンデイロ等の打楽器を安易に加えていないところも、興味をそそられる部分でした。
日没間近になって、日が射してきた小樽の街の一角で、ショーロが流れ始めました。
あ、このストレートさ、すごくいい感じ。腕利き登場、みたいなノリではなくて、クラリネットの音色を最大限に活かしつつ、アンサンブルのバランスを大切にする演奏です。
でも、ギターの飛澤さんの作り出すリズムが素晴しく、曲によっては、複数のパターンのリズムが重ねられた後、次第に旋律の動きを増してゆく長崎さんのクラリネットと共に、郷愁を漂わせながら盛り上がっていくシーンもあり、期待をはるかに上回るサウンドに浸ることができました。
1stステージ後、CDを購入しようとしたら、ゆにくらのお2人とお話ができたので、ブログ用に写真を撮らせていただく許可を得ました。

クラリネットの長崎さんは、最近のテクニカルなプレイヤーたちではなく、往年の名ショラゥン、アベル・フェレイラ(Abel Ferreira)を聴いてショーロに魅かれたということですが、なるほど納得。
あ、間違っても、フェレイラがテクニカルでないという意味ではありません!雰囲気というか、ショーロらしい香りを感じさせてくれるというか。リスペクトすれば、それはやはり何らかの形で演奏にでてくるものなのですね。
ギターの飛澤さんは、実は前日に別ユニット(ボサノバ系)のミニコンサートでも聴かせていただいていましたが、どちらを聴いても、しっかりブラジルを感じさせるリズムが印象に残ります。他にも、いくつかのブラジル系音楽ユニットに参加されています。よく思うのですが、これは演奏技術云々以前の資質の問題のような気がします。ブラジル音楽独特の、少しもつれるような、それでいてどこか聴く者を煽るような、リズムを造り出せるというのは。
30分ほどのインターミッションを挟み、セカンド・ステージがスタート。
フォーマットの決まっているショーロのスタンダードに対し、自由度のあるオリジナル曲の良さに気付きました。ショーロ以外のブラジル音楽や、ミュゼット、もしかするとマヌーシュ・スウィングのエッセンスもちりばめられ、演奏も練られていて、あちこちに聴く楽しさがあります。
意外なところでは、エルメート・パスコアルの"Chorinho pra Ele"なども演目に加えられていましたが、このユニットらしく、節度のある演奏で、楽曲の良さを伝えてくれるものでした。
できるなら、そのまま3rdステージも聞きたかったけど、札幌発の夜行に乗るため、ここでおいとまし、駅への坂道を戻っていきました。
列車の走行音に重なって、記憶に残っている音がゆっくりと反芻します。いい音楽でした。そう思うのは、それがこの地に無理なく根付いていると感じる音楽だったから。東京や、大阪のショーロとはまた一線を画す、おおらかで繊細な音の流れ。それは北海道という土地が育んだものかもしれないし、あるいはまた、「ゆにくら」しか創り出せないサウンドなのかもしれません。

※アーティストのHP等ありますので、リンクを張っておきます。
ゆにくらのHP。演奏スケジュールや、ライブ後記のほか、CDの購入ページもあります。試聴有り!▼
旅する哀笑のクラリネットunicla 〜ゆにくら〜
ブラジルもジャズもOK!な飛澤さん(ギター)のHP。スケジュールのコメントが面白すぎ!▼
BOSSA NOVA GUITARIST TOBY'S HOME PAGE
ゆにくらが出演している「小樽倉庫No.1」▼
小樽ビール発祥の地 小樽倉庫No.1
次回はさらに時間を遡って、見聞きしたものを書く予定です。
PLACE : 小樽倉庫No.1(小樽・港町)
DATE : 2007/08/18(sat)

ジスモンチのライブの2日前。札幌駅。22:00。
青森行き「急行はまなす」は、ハイシーズン用の増結編成ながら、満席状態でホームを離れようとしていました。東京のトリトンスクエアを経由する、長い復路へ向けて。
指定席は、運悪く電源車。列車速度に関係なく、車内は常に発電機のエンジン音で満たされていましたが、耳にはまだ、1時間ほど前、小樽で聴いたクラリネットとギターの音色が残っていました・・・
「北海道 ショーロ」というキーワードで、何気なくネット検索したことが、最初は漠然と北を目指すつもりでいたこの旅の日程を決めてしまいました。あの地にも、ブラジル音楽を愛し、ショーロを演奏する人たちがいるなんて。最近の中原仁さんのブログ記事(→cf : ブログ記事「仲原仁のCOTIDIANO」)を拝見したら、「最近ショーロを演奏する日本人が増えているだろう?」とジスモンチが言っていたと書かれていましたが、ブラジル人アーティストにまで認識されているその状況に、間違いはないようです。
ちょうど神戸あたりの街のように、山と海に挟まれた小樽は、市街地が散歩で廻れるくらいの規模で、駅前から港方行へ大通りを1kmほど真直ぐ下りきったことろに、小樽運河がありました。運河沿いの建物群は景観整備され、目指す「小樽倉庫No.1」も、そのうちの1つをレストアしたものでした。
地ビールと、北海道産の素材を使った食事を提供し、ライブを聞かせるというエンタテイメント性の高いお店には、定期的に何組かのアーティストが出演しているようですが、この日のお目当ての「ゆにくら」は、ショーロとミュゼットを演奏する、クラリネットとギターのデュオです。パンデイロ等の打楽器を安易に加えていないところも、興味をそそられる部分でした。
日没間近になって、日が射してきた小樽の街の一角で、ショーロが流れ始めました。
あ、このストレートさ、すごくいい感じ。腕利き登場、みたいなノリではなくて、クラリネットの音色を最大限に活かしつつ、アンサンブルのバランスを大切にする演奏です。
でも、ギターの飛澤さんの作り出すリズムが素晴しく、曲によっては、複数のパターンのリズムが重ねられた後、次第に旋律の動きを増してゆく長崎さんのクラリネットと共に、郷愁を漂わせながら盛り上がっていくシーンもあり、期待をはるかに上回るサウンドに浸ることができました。
1stステージ後、CDを購入しようとしたら、ゆにくらのお2人とお話ができたので、ブログ用に写真を撮らせていただく許可を得ました。

クラリネットの長崎さんは、最近のテクニカルなプレイヤーたちではなく、往年の名ショラゥン、アベル・フェレイラ(Abel Ferreira)を聴いてショーロに魅かれたということですが、なるほど納得。
あ、間違っても、フェレイラがテクニカルでないという意味ではありません!雰囲気というか、ショーロらしい香りを感じさせてくれるというか。リスペクトすれば、それはやはり何らかの形で演奏にでてくるものなのですね。
ギターの飛澤さんは、実は前日に別ユニット(ボサノバ系)のミニコンサートでも聴かせていただいていましたが、どちらを聴いても、しっかりブラジルを感じさせるリズムが印象に残ります。他にも、いくつかのブラジル系音楽ユニットに参加されています。よく思うのですが、これは演奏技術云々以前の資質の問題のような気がします。ブラジル音楽独特の、少しもつれるような、それでいてどこか聴く者を煽るような、リズムを造り出せるというのは。
30分ほどのインターミッションを挟み、セカンド・ステージがスタート。
フォーマットの決まっているショーロのスタンダードに対し、自由度のあるオリジナル曲の良さに気付きました。ショーロ以外のブラジル音楽や、ミュゼット、もしかするとマヌーシュ・スウィングのエッセンスもちりばめられ、演奏も練られていて、あちこちに聴く楽しさがあります。
意外なところでは、エルメート・パスコアルの"Chorinho pra Ele"なども演目に加えられていましたが、このユニットらしく、節度のある演奏で、楽曲の良さを伝えてくれるものでした。
できるなら、そのまま3rdステージも聞きたかったけど、札幌発の夜行に乗るため、ここでおいとまし、駅への坂道を戻っていきました。
列車の走行音に重なって、記憶に残っている音がゆっくりと反芻します。いい音楽でした。そう思うのは、それがこの地に無理なく根付いていると感じる音楽だったから。東京や、大阪のショーロとはまた一線を画す、おおらかで繊細な音の流れ。それは北海道という土地が育んだものかもしれないし、あるいはまた、「ゆにくら」しか創り出せないサウンドなのかもしれません。

※アーティストのHP等ありますので、リンクを張っておきます。
ゆにくらのHP。演奏スケジュールや、ライブ後記のほか、CDの購入ページもあります。試聴有り!▼
旅する哀笑のクラリネットunicla 〜ゆにくら〜
ブラジルもジャズもOK!な飛澤さん(ギター)のHP。スケジュールのコメントが面白すぎ!▼
BOSSA NOVA GUITARIST TOBY'S HOME PAGE
ゆにくらが出演している「小樽倉庫No.1」▼
小樽ビール発祥の地 小樽倉庫No.1
次回はさらに時間を遡って、見聞きしたものを書く予定です。
2007.08.21
エグベルト・ジスモンチ ソロコンサート - 旅の終わりに
LIVE : EGBERTO GISMONTI-SOLO CONCERT
PLACE : 第一生命ホール(東京・晴海)
DATE : 2007/08/20(mon)

珍しく北を目指した旅を、東京で閉じようとしていました。晩夏の積乱雲が、音もなく夕空に大きく立ち上がる中、トリトンスクエアの第一生命ホールへゆっくりと向かいました。
エグベルト・ジスモンチ。16年ぶりのソロ・コンサート。言わずと知れた、ブラジル音楽の鬼才。
言わずと知れた?本当に?彼についての一体何が、正確に知られているというのでしょうか。私自身はといえば、熱心にCDを聴いたこともなく、その鬼才ぶりについても、限られた有名曲以外は、無知に等しい状況でした。
今までの経験からして、たいてい、良い曲というのは、ほぼ誰の手を介しても、創り手の特徴を何らかの形で伝えてくれました。でも、ジスモンチについては、曲の源流への遡行が不可能でした。何かが邪魔している、のではなく、霧に巻かれたように、方向さえ見当たらない感じ。聴こえる音はこんなに明晰なのに、なぜ?そんな思いを抱えたまま、ついに本人の演奏を聞く日を迎えました。
オーバルのホールは、器楽曲を聴くのにちょうどよい大きさ。いつもほどではないけど、見知った方の姿もちらほら。おそらく、それぞれの人が、それぞれに違った期待を抱いて集まってきているはず。こういう時、人の考えが覗ければ、かなり面白いと思うのですが。
ピアノが座っているステージに、10弦ギター2本(遠くからはそう見えた)を抱えてジスモンチが現れました。あまり余計な間をおかず、すぐにステージが始まりました。
えっ、な、なんだ?この弾き方は。左手で旋律、右手でリズム・・・倍音・・・ハーモニクス・・・超高速アルペジオ・・・特殊な奏法が自由自在。いや、でも、凄さを感じるのは、全然そんな部分じゃない。
凄腕ギタリストにもいろいろタイプはいるけど、この人は何か根本的に質が違う。フリージャズや現代音楽の精神性とはまた違うところで、ギターの表現力を極限まで使って、自由に音を遊ばせ、広げ、しかしそこには、信じられないことに、一音たりとも冗長な部分はなく、最終的には何か一纏りの巨大な音像となって聴き手に迫ってくるのです。そう、ちょうどここへ来る時見た、雲のような、とらえどころのない質量と美しさを伴って。

次々に迫ってくるスペクタクルな音楽的ハプニングによって、全身の細胞という細胞をざわめかせて止まないギタープレイの前半は、あっと言う間に終了。今目撃したばかりの出来事に対する、聴衆のざわめき。しかし、余韻に浸る余裕を与えぬまま、短いインターバルを挟んで、すぐに後半が開演しました。
後半は手ぶらで入ってきて、ピアノ。腰を据えるのと手を置くのがほぼ同時という感じで演奏がスタート。今度は、隣の人が固唾を飲むのが分かるくらいの間を時に置きながら、叙情性も発揮し、しかしやはり、ピアノでしか作り出せない音像を立ち上げ、また別の色彩の光景が繰り広げられました。
ああ、これがジスモンチの音楽のありのままの姿なら、曲を通じてこの人を知ろうとすることは、不可能と言う前に、無意味なのかも知れません。楽曲がジスモンチを介して語られているというより、ピアノやギターのなかに潜んでいる何かが、ジスモンチを突き動かして、音像が実体化している感じですから。
ピアノのことば。ギターのことば。ブラジル訛の。
知っている曲と知らない曲の差異は、私にとって些細なことになってしまいました。
休憩時間の、すっかり青くなった夕闇の中、遠くの積乱雲に稲妻が走りました。激しい夕立を浴びるような経験、だったのかも知れません。こんな音楽に、今まで会ったことがないのは確か。もの凄いものを見ました。しかしそのような性質ゆえ、リズムや旋律が心の中に住み着くことはなく、一回限りの僥倖として過ぎて行くように思えました。
あすも夕立はやってくるのでしょう。しかし、その場所で、その場限りの出来事として、過ぎ去ってゆくのでしょう。

インパクトが強かった旅の最終日から、いきなり話が始まってしまいましたが、この旅では、他にも心に残る音楽に出会いました。
それについては、また、近いうちにここに書こうと思っています。
※TBいただいた方のブログを拝見しましたが、ジスモンチのライブレポのリンク集を作成されてました。
やはり、各人各様のとらえかたをされていて、面白いですね〜
▼
cf : 至福の時〜ジスモンチ ライブレポート
PLACE : 第一生命ホール(東京・晴海)
DATE : 2007/08/20(mon)

珍しく北を目指した旅を、東京で閉じようとしていました。晩夏の積乱雲が、音もなく夕空に大きく立ち上がる中、トリトンスクエアの第一生命ホールへゆっくりと向かいました。
エグベルト・ジスモンチ。16年ぶりのソロ・コンサート。言わずと知れた、ブラジル音楽の鬼才。
言わずと知れた?本当に?彼についての一体何が、正確に知られているというのでしょうか。私自身はといえば、熱心にCDを聴いたこともなく、その鬼才ぶりについても、限られた有名曲以外は、無知に等しい状況でした。
今までの経験からして、たいてい、良い曲というのは、ほぼ誰の手を介しても、創り手の特徴を何らかの形で伝えてくれました。でも、ジスモンチについては、曲の源流への遡行が不可能でした。何かが邪魔している、のではなく、霧に巻かれたように、方向さえ見当たらない感じ。聴こえる音はこんなに明晰なのに、なぜ?そんな思いを抱えたまま、ついに本人の演奏を聞く日を迎えました。
オーバルのホールは、器楽曲を聴くのにちょうどよい大きさ。いつもほどではないけど、見知った方の姿もちらほら。おそらく、それぞれの人が、それぞれに違った期待を抱いて集まってきているはず。こういう時、人の考えが覗ければ、かなり面白いと思うのですが。
ピアノが座っているステージに、10弦ギター2本(遠くからはそう見えた)を抱えてジスモンチが現れました。あまり余計な間をおかず、すぐにステージが始まりました。
えっ、な、なんだ?この弾き方は。左手で旋律、右手でリズム・・・倍音・・・ハーモニクス・・・超高速アルペジオ・・・特殊な奏法が自由自在。いや、でも、凄さを感じるのは、全然そんな部分じゃない。
凄腕ギタリストにもいろいろタイプはいるけど、この人は何か根本的に質が違う。フリージャズや現代音楽の精神性とはまた違うところで、ギターの表現力を極限まで使って、自由に音を遊ばせ、広げ、しかしそこには、信じられないことに、一音たりとも冗長な部分はなく、最終的には何か一纏りの巨大な音像となって聴き手に迫ってくるのです。そう、ちょうどここへ来る時見た、雲のような、とらえどころのない質量と美しさを伴って。

次々に迫ってくるスペクタクルな音楽的ハプニングによって、全身の細胞という細胞をざわめかせて止まないギタープレイの前半は、あっと言う間に終了。今目撃したばかりの出来事に対する、聴衆のざわめき。しかし、余韻に浸る余裕を与えぬまま、短いインターバルを挟んで、すぐに後半が開演しました。
後半は手ぶらで入ってきて、ピアノ。腰を据えるのと手を置くのがほぼ同時という感じで演奏がスタート。今度は、隣の人が固唾を飲むのが分かるくらいの間を時に置きながら、叙情性も発揮し、しかしやはり、ピアノでしか作り出せない音像を立ち上げ、また別の色彩の光景が繰り広げられました。
ああ、これがジスモンチの音楽のありのままの姿なら、曲を通じてこの人を知ろうとすることは、不可能と言う前に、無意味なのかも知れません。楽曲がジスモンチを介して語られているというより、ピアノやギターのなかに潜んでいる何かが、ジスモンチを突き動かして、音像が実体化している感じですから。
ピアノのことば。ギターのことば。ブラジル訛の。
知っている曲と知らない曲の差異は、私にとって些細なことになってしまいました。
休憩時間の、すっかり青くなった夕闇の中、遠くの積乱雲に稲妻が走りました。激しい夕立を浴びるような経験、だったのかも知れません。こんな音楽に、今まで会ったことがないのは確か。もの凄いものを見ました。しかしそのような性質ゆえ、リズムや旋律が心の中に住み着くことはなく、一回限りの僥倖として過ぎて行くように思えました。
あすも夕立はやってくるのでしょう。しかし、その場所で、その場限りの出来事として、過ぎ去ってゆくのでしょう。

インパクトが強かった旅の最終日から、いきなり話が始まってしまいましたが、この旅では、他にも心に残る音楽に出会いました。
それについては、また、近いうちにここに書こうと思っています。
※TBいただいた方のブログを拝見しましたが、ジスモンチのライブレポのリンク集を作成されてました。
やはり、各人各様のとらえかたをされていて、面白いですね〜
▼
cf : 至福の時〜ジスモンチ ライブレポート
2007.08.15
8月13日のたんころりん
EVENT : たんころりん-「空耳ファド + 津森久美子」ファドライブ
DATE : 2007/08/13(mon)
PLACE : 愛知県豊田市足助町 小松邸駐車場
盛夏。たんころりんの灯る足助を再訪。
この場所を訪れる度、穏やかだけど忘れがたい印象が、心の中に重なっていくようです。
6月のたんころりんでは、複数箇所でのライブが万華鏡のように楽しめましたが、今日のライブは空耳単独です。
そして会場も、夏ですから!フェスの季節ですから!・・・というわけではないですが、前回の玉田屋旅館を飛び出し、ベンチの並べられた戸外のスペースにPAのアシスト付きで行われました。
ということは、今回は玉田屋のご主人には会えずじまい?・・・いやいや、しっかりサポート役として動き回っている玉田屋さんにすぐにお目にかかることができました。

▲日が暮れて、ようやく過ごしやすくなってきた空気の中、まずは空耳ファドのお二人が登場。もはやたんころりんには欠かせないユニットですね。
手前がポルトガルギターの西邑さん、奥がクラッシックギターの大西さんです。

▲夕闇が美しいブルーとなる頃、ファディシュタ津森久美子さんが登場。狙ってましたか!?
すでに何度かこの地を訪れて、すっかり足助の魅力にはまってしまったという津森さんは、いよいよ今回からは正式に招聘されての参加です。

▲たんころりんが夕闇に浮かび上がる頃、通りを行き交う人も増え、ファドの旋律を耳にして足を止める人も数多く見られました。
ライブの合間には、ポルトガルギターを珍しそうに覗き込む方や、CDを購入される方も。

▲バランスの良いPAに支えられて、ライブもなかなか盛況となり、最後の3rdステージ後にはアンコールの拍手まで起きました。
この頃には満天の星空となっていて、戸外でのライブの魅力を存分に満喫!

▲足助川のほとりには、万灯まつりのキャンドルの炎が揺らめいていました。
風の抜けやすい環境ですから、火が消えてしまうキャンドルもあるのですが、それを一つづつ再点火していく方を見かけました。足助のイベントを支えているのが何なのか、よくわかる光景でした。
付記:TBありがとうございました。
※足助の宿 玉田屋旅館さんの趣味のブログです↓
ブラジレイロな生活? - ブラジル好きBrunoの、極めて足助っぽい日記
参加アーティスト自身によるブログもアップされています。
※ファド歌手 津森久美子さんのブログ↓
Diario de Flor - 「たんころりんライブ写真」
※ポルトガルギター奏者 西邑さんのブログ↓
何かあったら書くコーナー - 宿場町のファド
DATE : 2007/08/13(mon)
PLACE : 愛知県豊田市足助町 小松邸駐車場
盛夏。たんころりんの灯る足助を再訪。
この場所を訪れる度、穏やかだけど忘れがたい印象が、心の中に重なっていくようです。
6月のたんころりんでは、複数箇所でのライブが万華鏡のように楽しめましたが、今日のライブは空耳単独です。
そして会場も、夏ですから!フェスの季節ですから!・・・というわけではないですが、前回の玉田屋旅館を飛び出し、ベンチの並べられた戸外のスペースにPAのアシスト付きで行われました。
ということは、今回は玉田屋のご主人には会えずじまい?・・・いやいや、しっかりサポート役として動き回っている玉田屋さんにすぐにお目にかかることができました。

▲日が暮れて、ようやく過ごしやすくなってきた空気の中、まずは空耳ファドのお二人が登場。もはやたんころりんには欠かせないユニットですね。
手前がポルトガルギターの西邑さん、奥がクラッシックギターの大西さんです。

▲夕闇が美しいブルーとなる頃、ファディシュタ津森久美子さんが登場。狙ってましたか!?
すでに何度かこの地を訪れて、すっかり足助の魅力にはまってしまったという津森さんは、いよいよ今回からは正式に招聘されての参加です。

▲たんころりんが夕闇に浮かび上がる頃、通りを行き交う人も増え、ファドの旋律を耳にして足を止める人も数多く見られました。
ライブの合間には、ポルトガルギターを珍しそうに覗き込む方や、CDを購入される方も。

▲バランスの良いPAに支えられて、ライブもなかなか盛況となり、最後の3rdステージ後にはアンコールの拍手まで起きました。
この頃には満天の星空となっていて、戸外でのライブの魅力を存分に満喫!

▲足助川のほとりには、万灯まつりのキャンドルの炎が揺らめいていました。
風の抜けやすい環境ですから、火が消えてしまうキャンドルもあるのですが、それを一つづつ再点火していく方を見かけました。足助のイベントを支えているのが何なのか、よくわかる光景でした。
付記:TBありがとうございました。
※足助の宿 玉田屋旅館さんの趣味のブログです↓
ブラジレイロな生活? - ブラジル好きBrunoの、極めて足助っぽい日記
参加アーティスト自身によるブログもアップされています。
※ファド歌手 津森久美子さんのブログ↓
Diario de Flor - 「たんころりんライブ写真」
※ポルトガルギター奏者 西邑さんのブログ↓
何かあったら書くコーナー - 宿場町のファド
2007.08.06
Egberto Gismonti (エグベルト・ジスモンチ)来日
あるパーカッショニストによれば、「ブラジル3大変態作曲家」の1人に挙げられるというエグベルト・ジスモンチ。
16年ぶりの来日となる今回の東京公演は、ジスモンチに興味がある人の間でも、とにかく来るなら聴いておかないと、という人と、ソロなら興味ないや、という反応に分かれ、盛り上がりはさほどでもないような気がします。
これはジスモンチの音楽の質のせいかもしれません。ライブでもよく取り上げられるような有名曲があるにもかかわらず、ジスモンチの音楽像全体は捉えにくいと感じられるのです。
先に挙げた「変態作曲家」の残り2人はエルメート・パスコアルとギンガだそうですが、この2人は、確かに相当個性的であるものの、ブラジル音楽にどっしりと根を下ろしていることは一目(一耳?)瞭然。
ジスモンチについても、ブラジル音楽がその基盤にあることは間違いないのですが、もっと逸脱する部分も多いと言うか・・・いや、この表現は正確さに欠けますね・・・常に理性が介入しているような印象を受けるのです。
正直、ジスモンチについては、いいCDを聴く機会にさえ恵まれていないので、私にとってはまだまだこれから知ろうとするアーティストの1人です。
ブラジルEMIより、ドイツECMの方がいい録音が多いそうですが、来日に合わせて、廃盤になっていたECMの国内版も再プレスされるそうですので、ジスモンチの音楽を知るには絶好の機会となりそうです。
遅れてチケットを取ったため、かなり後方の席になってしまいましたが、20日の第一生命ホールへ観に行くことにしました。公式ホームページによれば、ピアノとギターの両方を使うらしいので、かなり楽しみです。
※すでに前売り分は完売となっている8/20(第一生命ホール)と8/21(草月ホール)の両公演ですが、若干の当日券が用意されるとの追加情報がありました。
コンサートの詳細およびアンコールプレスなどの情報は、下記公式HPよりどうぞ。
EGBERTO GISMONTI-SOLO CONCERT
16年ぶりの来日となる今回の東京公演は、ジスモンチに興味がある人の間でも、とにかく来るなら聴いておかないと、という人と、ソロなら興味ないや、という反応に分かれ、盛り上がりはさほどでもないような気がします。
これはジスモンチの音楽の質のせいかもしれません。ライブでもよく取り上げられるような有名曲があるにもかかわらず、ジスモンチの音楽像全体は捉えにくいと感じられるのです。
先に挙げた「変態作曲家」の残り2人はエルメート・パスコアルとギンガだそうですが、この2人は、確かに相当個性的であるものの、ブラジル音楽にどっしりと根を下ろしていることは一目(一耳?)瞭然。
ジスモンチについても、ブラジル音楽がその基盤にあることは間違いないのですが、もっと逸脱する部分も多いと言うか・・・いや、この表現は正確さに欠けますね・・・常に理性が介入しているような印象を受けるのです。
正直、ジスモンチについては、いいCDを聴く機会にさえ恵まれていないので、私にとってはまだまだこれから知ろうとするアーティストの1人です。
ブラジルEMIより、ドイツECMの方がいい録音が多いそうですが、来日に合わせて、廃盤になっていたECMの国内版も再プレスされるそうですので、ジスモンチの音楽を知るには絶好の機会となりそうです。
遅れてチケットを取ったため、かなり後方の席になってしまいましたが、20日の第一生命ホールへ観に行くことにしました。公式ホームページによれば、ピアノとギターの両方を使うらしいので、かなり楽しみです。
※すでに前売り分は完売となっている8/20(第一生命ホール)と8/21(草月ホール)の両公演ですが、若干の当日券が用意されるとの追加情報がありました。
コンサートの詳細およびアンコールプレスなどの情報は、下記公式HPよりどうぞ。
EGBERTO GISMONTI-SOLO CONCERT
| Home |




