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あわただしく、忘年会続きでライブ通いもままならない年末は、最近のストックの中から、お気に入りのCDをピックアップして、ゆっくりと過ごす方がよさそうです。

1枚目は、仕事と子育てに忙殺されて、好きな音楽も聴けずにいた後輩を連れ出して、暫く前に行ったライブで入手したものです。
私がこのユニット(=Atr of Music)に注目したわけは、過去記事にあるように、フランスのジャズ・オーボエ奏者ジャン・リュック・フィロンの作品を気に入って聴き続けていたからなのですが、ふと検索をかけてみたら、日本にもプレイヤーがいることを知り、俄然興味が沸いたというわけです。


CD : Art of Music "Aqui"(kan-gen1)
Lavel : kan-gen 2005
Player : tomoca Oboe & English horn
   鴛淵 禎祐(おぶちていすけ) Guitar & Vocal

tomoca(=広多智香)は、日本では珍しいジャズ系オーボエ奏者ですが、ライブで最初の一音を聴いたとたん、これはやられた、と思いました。トッププレイヤーの吹くオーボエの音は、それはもうふくよかな音色で、それだけで耳が心地よくなってしまうのです。共演したギタリスト、鴛淵禎祐の書く曲は、オーボエのロングトーンを活かした奇数拍子のものが多いような気がして、しかしよく聴くと、様々なリズムと形式を持っていました。聴くほど聴き応えがあり、どんどん好きになってゆく感じ。

そして、フュージョン調の"T-Bird"は、ライブでもCDでも、私にとって白眉の一曲。他の曲とは趣を変え、切れのいいアーティキュレーションと、アドリブ部分では特殊な奏法を交えつつ、なかなかキャッチーな旋律を軽快に吹き飛ばしてゆきます。正直に言うと、ネットで試聴したときには、タイム感だけが私の感覚に馴染まなかったのですが、ライブ以降は気にならなくなりました。私の耳がずれていただけみたいです。(汗

しかし、ライブもCDも、どちらかといえば、じっくりとした鑑賞に堪えるもので、心の大切な部分にある思いとともに味わうと、一層音が胸に沁みてきます。

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もう一枚は、ブラジルの超絶技巧バンドリン奏者、アミウトン・ヂ・オランダ(Hamilton de Holanda)と、天才的知性派ピアニスト兼作曲家、アンドレ・メーマリ(Andre Mehmari)の共作品です。


CD : Hamilton de Holanda & André Mehmari "Continua Amizade"
Lavel : Deckdisk 2007
Player : Hamilton de Holanda (Bandorin)
    Andre Mehmari (Piano)

リアリストと夢想家の感覚が合わないように、2人の音楽性はちょっと噛み合わないんじゃないか、というのが大方の予想だったと思いますが、聴いてみたら、すみません、こちらの認識が甘うございました、と言うしかないすばらしい音楽がそこにありました。

いずれにせよマニアックな内容になる、という安易な予感も覆して、暖かく穏やかに広がる海のような風景。でも、そこにきらめくのは、今まで見たことのない色彩の輝き。

ジルソン・ペランゼッタとセバスチャン・タパジョスの「リフレクションズ」を聴いて以来、弦とピアノの器楽作品として感覚を新たにしてくれる一枚の再来を待っていたのですが、その思いは、頭抜けた才能を持つ、若い2人のプレイヤーによって果たされたようです。

ただ、まだ私はこの盤を充分に評価できていないという気がするので、ここで言葉をとどめますが、久しぶりに聞くアンドレ・メーマリらしい音使い〜常に、世界の知らない部分から導いてくるような、魔術的な音の響き〜に耳を傾け、ゆっくりとした気分で聴くと、普段忘れていた深い場所へと思いを連れて行ってくれるでしょう。きっと。

LIVE : エスキーナ・ド・ソン & 津森久美子 ファドライブ
PLACE : Cafe Dufi(名古屋/新栄)
DATE : 2007/11/30(Fri)

雲ひとつない、透明な晩秋の夕暮れ。東京からバスで到着した2名を栄でひろってドゥフィに到着すると、すでに店内ではセッティングが始まっていました。ここまで繋ぎ役に徹してきたけど、この現場で何ができるのか、という私の戸惑いなど脇において、リハとサウンドチェックが並行してサクサク進んでいきます。さすが、皆さん、プロ。邪魔にならないところで眺めていることにしました。

2時間のリハの時間はあっというに押し流され、開場時間を時間を迎えました。観客という立場だと長く感じる開演までの時間も、主催側に回ったとたん、非常に短く感じてしまいます。お客さんは、開演時間直前で半入りという感じ。初物としては善戦かもしれないけど、私自身は、もうちょっと、集客に貢献したかったところです。



Cafe Dufiの天井の高い空間に、心地よく、しかし力強く響き渡るファド・カスティーソ。1年ほど前に思い描いた音の風景が、とうとう目の前に広がりはじめました。
でも、1つだけ、想像と違っていることがありました。それは、その風景の大きさ。
今まで何度かエスキーナの演奏を耳にしているのに、伝統的なファドって、こんなにドラマティックな音楽だっけ、と驚きを隠せないほどの、豊かな広がり。

リハの終了直前にヒントを掴んだという、サンバタウン上沖さんによる音響は、本番で絶妙なバランスを発揮。弦楽器の繊細さとヴォカールのダイナミズムを自然に、かつ同時に伝える、素晴らしいものでした。この音は、ファドのPAについてエスキーナが考えていた音像ともぴたりと一致し、ステージの質を上げる一つの大きな要因となりました。



第1部は、エスキーナによるデュオから、西村さんが加わったトリオ、そして津森さんを加えたカルテットへと展開してゆく弦楽器メインのステージ、第2部が水谷さんのギターソロから、エスキーナ+津森さんのトリオ、そしてカルテットへと、歌が中心となるステージが組まれていたため、様々なバリエーションが楽しめ、初めてファドを聴く人が殆どという状況によく配慮された構成でした。

先日のライブで得た印象は気のせいではありませんでした。エスキーナと津森さん、そして西村さんの音楽は・・・言葉で言うのは難しいのですが・・・聴くものの心を直接揺らす響きを持ち始めているようです。たとえ、ファドを知らない人であっても。それは、Café Dufiに来られたお客さんの反応をみれば、一目瞭然。今度は、もっと多くの人に聴いてもらって、やがてここでファドを聴けることが、珍しい機会でないくらいになれば、名古屋の音楽環境ももっと豊かになるでしょう。



ほんとうに、いい音楽へとファドが実ってゆく過程を、私は見ているのかもしれません。
次回もぜひ、この場所でこのライブを実現させたいものです。

それまでは、また、つながるところは繋いでいようと思っています。
エスキーナ・ド・ソン&津森久美子ライブ @ Cafe Dufi、無事終了しました。
ライブに関わって頂いた方々には本当に感謝いたします。
名古屋でこんなファドのライブが聴けるなんて、1年前は想像もしてみませんでした。

演奏、ステージ構成、音響、どれをとっても、ひいき目なしに素晴らしいレベルのライブでした。
ライブレポはまた後日書きますが、まずは、写真でのご報告を。