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今年最後の福音は、ポルトガルから。最初にこのアルバムを耳にしてから約1週間。いまだに冷静になれないので、勢いで書いてしまいます。

新世代のファド歌手、マリア・アナ・ボボン(Maria Ana Bobone)の新譜"Nome de Mar"が届きました。
これまでもボボンを演奏でサポートしてきたギタリシュタ、リカルド・ローシャ(Ricardo Rocha)が、今回は全面的にプロデュース・アレンジを担当しています。

CDに耳を通したとたん、背筋を走る只ならぬ予感。
無調から長調へ、そして短調へとうねりを変えてゆくポルトガルギターの海。
ファドに似つかわしい、大人の声になったボボンのソプラノが、そこに豊かな光を投げかけ、鮮烈なファドの黎明が広がってゆきます。
なんて感動的な光景。数日を経た今でも、まだ感情の波が揺れています。

ゲストプレイヤーを迎えての中盤で、思いもかけない低域の声やコーラスなど、今までになかったボボンの魅力を見せた後、ギタリシュタ、リカルド・ローシャの本領が発揮されます。
フェルナンド・ペソアの詩にローシャが曲をつけたスローな小品2つですが、親密さと不可侵な感じが背中合わせに共存する独特の品位は、まるでブラジルのギンガの作品が放つそれのよう!
ポルトガルギター奏者が口をそろえて「あの天才」という訳が少し理解できたような気がしました。

最後はボボンの出自を語るように、ヴィヴラートをかけない少女のような声で、アヴェ・マリアを歌ってCDは終わります。
ほとんど伝統的なファドの楽器構成(ショーロの場合の「ヘジオナウ」に相当する言葉はあるのでしょうか?)によりながら、音楽としての普遍性をここまで得るには、相当な力量が必要なはず。
ファドが、ファド自身の力でその可能性を広げようとする超凡な作品だと感じました。今年の個人的なベストアルバムになりそうです。

日本には入ってきていないようですが、YOUTUBEにプロモーション・ビデオがアップされていました。表題曲が、フルレングスで聴けます↓。



楽器でいうと、タンギングやアタックをかけない奏法に相当するボボンの発声は、聴く人を選ぶかも知れませんが、純粋に歌物としても良曲ぞろいのアルバムですので、聴いてみて損はないと思います。

CD : Maria Ana Bobone "Nome de Mar"
2006 Vachier & Associados, Lda
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