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2007.06.29
東京 - 空 - ポルト
雨が降り続いた夏至の翌日は、強烈な快晴。
久しぶりに乗る東京の地下鉄の乗り換え距離の長さに辟易しつつ、気になっていた展覧会を廻る。
クラウディア・アクーニャの魅力的な笑顔、慎ましく繊細なステージ・マナー、そして何よりもあの声が、鮮烈な余韻としてまだ残っている。意外性と、発見。ライブを観に来て本当に良かった。
一日乗車券を買ったので、街を感じたくて、用のないところへも足を延ばしてみる。
川面を見下ろす。空を見上げる。この空は、ここにしかない、と感じて、シャッターを切る。何が明らかに違うのか?そう訊かれても、今の自分は言葉にはできない。ブレッソンなら、どう答えるんだろうか?

アンリ・カルティエ=ブレッソン展(Henri Cartier-Bresson)。一つ一つの写真をじっくりと眺めている人々を追い越しつつ、感覚に訴えてくるもののみ、選択的に見ることにした。写真を撮る瞬間、そのフレームを選択した真の理由まではブレッソン自身にも説明できないだろうから、自分がすぐに何かを感じられない写真を、穴の開くほど眺めて得られるものは少ない、と思って。
一つ、確実に足が止まって動けなくなる映像があった。つららの下がる、焼け跡のような乱雑な前景の上に、靄が立ちこめ、遠くにマンハッタンの摩天楼が霞んで並んでいる。白黒だけど、冬の天気のよい日だとわかる。初めて見るのに、この既視感のような変な親近感は何?自分が積み重ねた都市感覚に呼応するもの?それとも、ブレッソンの影響が、様々なメディアを介して自分の視線に及んでいるせい?
いずれにせよ、写真で名を残しただけあって、ブレッソンの視点はどこか風変わりだ。普段見慣れているはずの景色の中に、まるで気付かない大きな様式が隠れていることを仄めかすかのような、奇妙な拘束力。そして、ここではない、どこか別の場所への行き方を確信しているかのような、人々の所作。自分が、建物の間隙、空の向こうに捕らえようとしたものも、その感覚なんだろうか。しかし次の瞬間には、何の変哲もない日常へと着地してしまう。
ビンテージ・プリントの深みが印象に残った。写真の場合、画像の質感は、撮影者の意図(具体的でないとしても)と密接な関係にあると思うので、展示用にリプリントされ、引き伸ばされた平板な印象の写真とは、決定的な差異があると感じたのだが、どうだろうか。

炎天下をくぐって、再び地下鉄へ。ギャラリー間へ来るのは、考えてみれば十数年ぶりだけど、基本的に何も変わらず、文化活動を続けているということに嬉しくなる。俗称の「ギャラ間」で検索しても、ちゃんとこの施設がヒットするので、最近の検索エンジンは、かなり柔軟なプログラムになっているらしい。
アルヴァロ・シザ(Álvaro Siza)は、世界遺産都市ポルトに拠点を置く、ポルトガルのトップ・アーキテクト。ストイックな外観と、シンプルな空間構成のせいか、今まであまり関心がなかったのに、見てみようという気になったのは、建物そのものより、それを成立させている風土やプログラムに、より関心が向くようになったからだろうか。
偏執的なほどサーフィス・コンシャスになっている最近の日本の建築物に比べると、かなり異質な存在感を持つようにみえるのは、周囲の環境との関係がはるかに強いせいだろう。海岸の岩場に張り付くように作られた有名な水浴施設は、そのボリュームの割りに豊かさを感じさせるが、それはきっと空と海を織り込んで建築してるからだ。日本にも「借景」という言葉はあるけど。
限られた展示スペースの中に、模型を数点置いてくれたのは好感がもてた。図面と写真だけでは見えないことも多いから。最近作の美術館は、曲がったスロープ状の昇降通路が壁面より飛び出しているという、シザの作品としては珍しく形的にも色気のある建物だけど、崖際の狭矮地を巧みに利用しているという面白さもある。

歩き回った暑い一日の終わりは、恵比寿のカーザ・デ・ケージョ(Casa de Queijo)へ。選んだチーズはたまたまポルトガル産。それをピザに載せて、香り高く焼いてもらった。パイプ片手のマスターはかなりの趣味人で、ファドの話をひとしきり。いつか、シザの建築を縁取っているポルトの空の深度を見てみたい。
EXHIBITION : アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌
PLACE : 東京国立近代美術館(東京・竹橋)
PERIOD : 2007/06/19 - 08/12
EXHIBITION : アルヴァロ・シザの建築
PLACE : ギャラリー・間(東京・乃木坂)
PERIOD : 2007/06/02 - 07/28
久しぶりに乗る東京の地下鉄の乗り換え距離の長さに辟易しつつ、気になっていた展覧会を廻る。
クラウディア・アクーニャの魅力的な笑顔、慎ましく繊細なステージ・マナー、そして何よりもあの声が、鮮烈な余韻としてまだ残っている。意外性と、発見。ライブを観に来て本当に良かった。
一日乗車券を買ったので、街を感じたくて、用のないところへも足を延ばしてみる。
川面を見下ろす。空を見上げる。この空は、ここにしかない、と感じて、シャッターを切る。何が明らかに違うのか?そう訊かれても、今の自分は言葉にはできない。ブレッソンなら、どう答えるんだろうか?

アンリ・カルティエ=ブレッソン展(Henri Cartier-Bresson)。一つ一つの写真をじっくりと眺めている人々を追い越しつつ、感覚に訴えてくるもののみ、選択的に見ることにした。写真を撮る瞬間、そのフレームを選択した真の理由まではブレッソン自身にも説明できないだろうから、自分がすぐに何かを感じられない写真を、穴の開くほど眺めて得られるものは少ない、と思って。
一つ、確実に足が止まって動けなくなる映像があった。つららの下がる、焼け跡のような乱雑な前景の上に、靄が立ちこめ、遠くにマンハッタンの摩天楼が霞んで並んでいる。白黒だけど、冬の天気のよい日だとわかる。初めて見るのに、この既視感のような変な親近感は何?自分が積み重ねた都市感覚に呼応するもの?それとも、ブレッソンの影響が、様々なメディアを介して自分の視線に及んでいるせい?
いずれにせよ、写真で名を残しただけあって、ブレッソンの視点はどこか風変わりだ。普段見慣れているはずの景色の中に、まるで気付かない大きな様式が隠れていることを仄めかすかのような、奇妙な拘束力。そして、ここではない、どこか別の場所への行き方を確信しているかのような、人々の所作。自分が、建物の間隙、空の向こうに捕らえようとしたものも、その感覚なんだろうか。しかし次の瞬間には、何の変哲もない日常へと着地してしまう。
ビンテージ・プリントの深みが印象に残った。写真の場合、画像の質感は、撮影者の意図(具体的でないとしても)と密接な関係にあると思うので、展示用にリプリントされ、引き伸ばされた平板な印象の写真とは、決定的な差異があると感じたのだが、どうだろうか。

炎天下をくぐって、再び地下鉄へ。ギャラリー間へ来るのは、考えてみれば十数年ぶりだけど、基本的に何も変わらず、文化活動を続けているということに嬉しくなる。俗称の「ギャラ間」で検索しても、ちゃんとこの施設がヒットするので、最近の検索エンジンは、かなり柔軟なプログラムになっているらしい。
アルヴァロ・シザ(Álvaro Siza)は、世界遺産都市ポルトに拠点を置く、ポルトガルのトップ・アーキテクト。ストイックな外観と、シンプルな空間構成のせいか、今まであまり関心がなかったのに、見てみようという気になったのは、建物そのものより、それを成立させている風土やプログラムに、より関心が向くようになったからだろうか。
偏執的なほどサーフィス・コンシャスになっている最近の日本の建築物に比べると、かなり異質な存在感を持つようにみえるのは、周囲の環境との関係がはるかに強いせいだろう。海岸の岩場に張り付くように作られた有名な水浴施設は、そのボリュームの割りに豊かさを感じさせるが、それはきっと空と海を織り込んで建築してるからだ。日本にも「借景」という言葉はあるけど。
限られた展示スペースの中に、模型を数点置いてくれたのは好感がもてた。図面と写真だけでは見えないことも多いから。最近作の美術館は、曲がったスロープ状の昇降通路が壁面より飛び出しているという、シザの作品としては珍しく形的にも色気のある建物だけど、崖際の狭矮地を巧みに利用しているという面白さもある。

歩き回った暑い一日の終わりは、恵比寿のカーザ・デ・ケージョ(Casa de Queijo)へ。選んだチーズはたまたまポルトガル産。それをピザに載せて、香り高く焼いてもらった。パイプ片手のマスターはかなりの趣味人で、ファドの話をひとしきり。いつか、シザの建築を縁取っているポルトの空の深度を見てみたい。
EXHIBITION : アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌
PLACE : 東京国立近代美術館(東京・竹橋)
PERIOD : 2007/06/19 - 08/12
EXHIBITION : アルヴァロ・シザの建築
PLACE : ギャラリー・間(東京・乃木坂)
PERIOD : 2007/06/02 - 07/28
alegre
アルヴァロ・シザの建築展、私も今日見に行きました。建築の素人には難解な感じがしましたが、ポルトガル人らしいシンプルさが印象的でした。
その帰りに、六本木のアカラジェ・トロピカーナに寄ってお昼ごはんを食べました。フェイジョアーダがマイルドでしたし、Arroz Doce(ライス・プディングみたいなもの)とおぼしきデザートもあって、おいしかったです。
ところで私事ですが、思うところがありまして、以前までご覧頂いていたブログを廃止し、新しくポルトガル語圏の詩を翻訳するブログを立ち上げてみました。正確な訳かどうかは保証できませんが、それなりに楽しんで書かせて頂いております。もしお気が向かれましたら、ご笑覧になってみてくださいませ。
その帰りに、六本木のアカラジェ・トロピカーナに寄ってお昼ごはんを食べました。フェイジョアーダがマイルドでしたし、Arroz Doce(ライス・プディングみたいなもの)とおぼしきデザートもあって、おいしかったです。
ところで私事ですが、思うところがありまして、以前までご覧頂いていたブログを廃止し、新しくポルトガル語圏の詩を翻訳するブログを立ち上げてみました。正確な訳かどうかは保証できませんが、それなりに楽しんで書かせて頂いております。もしお気が向かれましたら、ご笑覧になってみてくださいませ。
alegre
度々済みません。続きです。
私のブログに、アバうトさんのブログのURLをお気に入りとしてリンクさせて頂きましたが、構いませんでしょうか?よろしくお願い致します。
私のブログに、アバうトさんのブログのURLをお気に入りとしてリンクさせて頂きましたが、構いませんでしょうか?よろしくお願い致します。
アバうト
お久しぶりです!新しいブログを始められていたんですね〜
突然旧ブログが読めなくなってしまったので、どうしたのかと思ってました。
リンク全然OKです!こちらこそ、よろしくお願いします。
電車で行けるブラジル、いいですね〜。首都圏はあちこち行ける店があってうらやましいです。といいつつ、東京にライブ観に行っても、いつも食う方はいい加減なので、そのうちがっつり行きたい気分も。
今夏はEgberto Gismontiのライブ等観に再び上京予定ですが・・・食いツアーしますか!?
突然旧ブログが読めなくなってしまったので、どうしたのかと思ってました。
リンク全然OKです!こちらこそ、よろしくお願いします。
電車で行けるブラジル、いいですね〜。首都圏はあちこち行ける店があってうらやましいです。といいつつ、東京にライブ観に行っても、いつも食う方はいい加減なので、そのうちがっつり行きたい気分も。
今夏はEgberto Gismontiのライブ等観に再び上京予定ですが・・・食いツアーしますか!?
2007/07/19 Thu 19:17 URL [ Edit ]
alegre
リンクの件、ご快諾頂きましてありがとうございます。食いツアーの話、都合のつく限り乗らせて頂きます!前回一緒だったポルトガル仲間たちと集うのとか、楽しそうですね。計画が固まりましたら、お知らせお待ちしてます。こちらも度々チェックさせて頂くようにしますね。
アバうト
ポルトガルなお歴々とも、ぺてぃすこす以来お会いしてないので、それも楽しそうですね!良さそうな店があったら、教えてくださいませ〜。
その前に、そのころに休みが取れるよう調整しなきゃ。
その前に、そのころに休みが取れるよう調整しなきゃ。
2007/07/21 Sat 16:01 URL [ Edit ]
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アーキテクトアーキテクト()には以下の意味がある。* 建築家なお、建築家の職分の中でもマスターアーキテクト、エンジニアアーキテクト、ランドスケープアーキテクト、のような用例は、そのままカタカナ表記で使用している。 情報技術|IT業界において、ソフトウェア工学に熟
建築って何? 2007/08/07 Tue 09:57
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